『快晴』
家族からも友達からも雨女と呼ばれて早十余年。
晴れた日はたいてい嫌な思いをするから、多少はましな曇りの日を待ちわびては耐えてきた。一度だけ、運動会中に雨乞いをしたら本当に雨が降ったことは秘密だ。
きらきら、ぴかびか。
太陽の下で元気に笑う人たちがうらやましい。
そう思っていた。
「めいちゃん!」
彼に会うまでは。
梅依だからめいちゃん。
なんの因果か、見るだけで目が潰されそうな爽やか笑顔の人と先日から付き合い始めました。文化祭のパシり、もとい買い出しに行こうと誘われて、いやいや私と出かけた日には雨に降られますよなんて言ったら。
「俺晴れ男だから大丈夫。もし買い出しの日が晴れだったら付き合って!」
結果。買い出しの日は雲ひとつ見えないくらいの快晴で。
でも、何一つひどい目には合わない奇跡の一日となった。
買い出しの翌日からもよく一緒にいた。からかってきたクラスの人たちに彼女だと紹介しているのを聞いて自分の勘違いに気がついた。
「付き合ってってそういう意味だったのかあ」
照れながら笑う私を見た彼は、なぜか真っ赤になって私を抱きしめてきた。
彼から香るお日さまのような匂いに、晴れも悪くはないな、なんて思いながらそっと彼の背に手を回した。
4/13/2024, 11:48:51 AM