もんぷ

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透明

 机に向かうよりも外に出て運動することが好きで、正義感と自己主張が強く、背が高くてショートカットだった幼い頃の自分。当時好きだった男子に好きと伝えると「男みたいで無理!誰がおまえなんか好きになるかよ」とぼろくそに言われ、クラスの男子中に馬鹿にされてから男性不信に陥った。一時期は兄さえ口をきくのも怖く、中学からは逃げるように女子校に通い始めた。男子のいない学校は平和で、思春期の影響で少し性格も大人しくなったが、今度は周りから女子校の王子様だと囃し立てられた。ちやほやされるのは嬉しいとも思わなくはないが自分が忌み嫌う男に仕立て上げられるのは吐き気がしそうだった。女性らしく見られたくて伸ばした髪も少しずつ覚え出したメイクも無視して、自分の骨格の男らしさや背の高さばかり重宝されているのが嫌だった。女なのに、女になりたいと願うのに、周りはそれをよしとしない。私と同世代の女子には透明の壁があるようだった。クラスの子に告白されることも数回あった。小学校のトラウマから男性と付き合うよりも抵抗は少ないとは薄々思っていたが全て断った。告白は、どれも私自身ではなく女子校の王子様である私を好きであり、男役をしてくれる人を好きなだけだと分かってたから。関わる全ての人と私の間には透明の壁があるようだった。男性不信、加えて男を押し付けてくる女性不信。誰かこの壁をすり抜けて、ありのままの女でいたいと思う私を受け入れてくれる人はいないのか。救いのない日々にまた透明の壁を厚くしながらそう願った。

3/13/2025, 3:09:02 PM