小石川梢子

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『命が燃え尽きるまで』

「命を燃やせ!」
 そう言った漫画のキャラクターは、誰だっただろうか。何はともあれ、私はその言葉が嫌いだ。命の灯なんて燃やすことを望んだわけではないのに、生きているだけで勝手に消えてしまうものなのに、何故わざわざ燃やしてやらないといけないのだろう。生きることは楽しいことだと純に信じられる楽天家ならいいかもしれないが、私の様な厭世家にとっては馬鹿馬鹿しいにもほどがある。命を燃やすことをみな望んでいる訳でも無いのに、何故この世のものはみな命を与えられているのか。私なんて常々か細くて憎いこの灯を消してしまいたいと思っていたというのに。
 だけど灯を消してしまうのは難しい。人に迷惑をかけるわけにはいかないから自死はできない。他殺なら迷惑にはならないかもしれないが、限りなく可能性が低い。事故?狙って起こせるものじゃない。だから、か細くて憎いこの灯が燃え尽きるまで私は何もしないことにした。燃やしてあげないし、燃え尽きさせてもあげない。それが私の生き方、命への復讐。

9/14/2024, 3:08:51 PM