思いつくままに説明を終えて息を吐く。時系列も出来事も細部はかなりあやふやで、ああこんなにも覚えてなかったんだって初めて気づいた。
部屋のなかがやけにしんと感じられた。空調の低音がぶうんと唸って止まる。
「お話、ありがとうございました」
白衣の襟をいじって、目の前の男は眼鏡を押し上げる。
「思ったのは、この人、すごくキツそうだなって」
あなたもどこかで分かったから、今日ここに来てくださったんですよね?
その瞬間、私は崩壊した。
「終わりが見えなくて、きっと不安でしたよね。でも、不安がないことには、何をすれば安心なのかも分からないですから」
まだなにも解決してないのに。引くぐらい泣きながら、同時に不思議な安心で心が満たされていくのが私にははっきりわかった。
『安心と不安』
1/26/2026, 9:57:27 AM