茶々

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 今日も、巻き込まれた。それもこれもオレが可愛すぎるせいだとは思う。
学校ではほぼ日常茶飯事で最早テンプレートと化した声は、もう届かなくなってきた。『大丈夫?』『何よアイツら〜!』女子たちの声。『まーたやってる』『碧月も懲りないよな』遠巻きな男共の声。『いらっしゃい、今日はどこをやらかした〜?』呑気な先生の声。正直どれも聞き飽きて耳にタコができそうだ。けれど。
 「今日も勝ってたな」
 校門の傍で毎日聞くこの言葉だけは、何故かいつも真っ直ぐに届くから不思議だ。どんな罵詈雑言を浴びせられようとも、どれだけ怖くても、まだオレは立てる。立っていられる。それに見ていてくれた何よりの証拠だし、マズかったら止めに入れるぞという裏も見える。
 「アイツらなんて大したことねぇよ!」
 自分に言い聞かせるように、コイツ…玲が安心できるように"いつも通り"返す。

お題:『どんな言葉よりも』

6/10/2024, 10:34:46 AM