突然の君の訪問。
「……ごめん……」
としか君は言わなかった。
ただ、ドラマとかでよくある雨の中ずぶ濡れになっている姿で訪ねてくる……なんて事が、現に今自分の目の前に起きている事だけは理解出来た。
「花耶(かや)………どうした?」
「…………っ」
君………彼女は何も言わずにただ涙を流しているだけだった。
お化粧が上手で綺麗な彼女の顔は、雨と涙でグシャグシャになっている。
「………また………傷付いたのか…?」
「……、っ……。」
彼女は、いつも恋をするのが少し下手くそだ。恋に上手いも下手もないけれど、とにかく彼女が好きになる人は、一癖、二癖ある人ばかり。
俺がいくら辞めとけと言えども、まったく聞く耳を持たずに付き合い、そしていつも傷付いて別れてくるのだ。
「………やめろって………いったじゃないか……」
俺は、彼女をもっと傷付けてしまう言葉を口に出す。こうやって言われれば懲りるか?と何度も言ってきたが、全く懲りない。
……繰り返すばかりなのだ。
「………なぁ、花耶」
「………なに……?」
「……取り敢えず、中、入れよ。
このままじゃ…風邪ひく」
俺は、友達に言われる。
花耶の都合のいい男から卒業しなければ、いくらお前が恋愛したいと思っていても無理だと…。
花耶が、俺の恋愛の妨げになっている。
そう……言われる。
でも……俺本人は、妨げられたなんて思ってないし、何なら、俺に振り向いてくれないかと本気で思っている。
でも、花耶は…向き合ってはくれないから。
いつも、はぐらかすから……
だから……お互い中途半端なままなんだ。
今だって、ずぶ濡れになっている花耶の服を脱がせ俺は花耶にキスをしている。
それを花耶は拒まないし、もっとと腕を肩に回してくる。
ホント………大概だ。
俺も…花耶も……大概だ。
8/29/2024, 3:39:18 AM