僕にはある友人がいる。
太陽みたいな人で、いつも明るくて誰かを照らしている。
僕は引っ込み思案で人見知りだから、彼が居なければきっとクラスにも馴染めなかった。
彼が太陽なら、僕は月。彼がいないと輝けない、ちっぽけな衛星。
僕は、誰かと協力して何かを成し遂げるのは得意でも、一人で何かをこなすのはからっきしダメなのだ。
そんな彼の様子が、近頃時々おかしくなる。
とろけた飴玉みたいな、それでいて喉に引っ掛かる苦味を湛えたような、そんな色をした目ををしている時がある。
そういう彼と目が合うと、僕は何故だかぞくりと背筋に仄暗い何かが伝って、本能が赤く警告灯を点滅させてくるのだ。
けれど、そうでない時の彼は相変わらず眩しくて、いつも通りの太陽みたいな彼のままだ。
きっと考えすぎだろうと思い込んで、気に留めないようにした。
それが、良くなかったのかもしれない。
ある日の帰り道、僕は彼のことに気付いていた。
けれど僕は彼の帰り道を知らなかった。
だから、普段は見かけない彼が後ろにいたって、きっと部活が無い日か何かでたまたま帰るタイミングが一緒になっただけなのだろうと、そう思っていた。
ぱちぱちと静電気のような音がして、僕は少しだけ振り向いた。
でも、彼は特に何もせず立っている。
時々鞄を少し漁るけれど、それも一瞬のことで、すぐに前を向いて歩き出す。
日が落ちる。輪郭がぼやけて、溶けたような夕日が山に吸い込まれていく。
思えば、彼は部活なんて入っていない。身長だって僕より大きいんだから、あんなにゆっくり、わざわざ僕の後ろをついて歩く必要は無い。さっさと追い抜けばいいのだ。
彼のあの異常な目によく似た夕日が沈みきった頃、月が顔を出した頃、僕の目の前は白く明滅して、そのまま意識を手放した。
テーマ:沈む夕日
4/8/2026, 8:41:10 AM