子供の時期か、子供が出来た大人の時期にしかそれを意識する事は無いだろう。まして、男の子なら尚の事、関係がない。何故ならその日は女の子の為にあるからだ。
「何故ひなまつりに人形を作るか知っているかね」
研究室に行くと、教授は愛おしげに人形を眺めていた。
また何かおかしな事を言っている。
「身代わりさ。病気や災いなどを肩代わりする。古来より人は魔除けとして藁人形を作ってきたが、お雛様だけはどこか格別だ。品質は格段に上がり、ただの人形に今や価値を見出している。実に不思議な事だろう?」
確かに、そうかもしれないが。
「あまりに非論理的でロジカルの欠片もない催しである事に違いないが、3月3日が特別であり続けるというのは、とても魅力的であり興味深い事象だ。是非今度の学会に───」
「出しませんし、研究しませんから!」
ただ教授の言う通り、少し不思議だとは思った。
なんでだろう?
3/4/2023, 3:53:13 AM