猫眠ことり

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あなたに届けたい

 溢れ落ちる言葉を必死に拾い集めた。文節も文法も無視して並べ立てたそれは不格好で、到底どこかに出せるものではなかった。

 指先から逃げる音をどうにか積み上げた。拍に押し込めたそれは窮屈そうにひしめきあって不協和音を奏でた。

精査して、組み直して、推敲して、調律して、書いて、消して、弾いて、止まって、奏でて、採譜して、編集して、書いて描いてかいてかいてかいてかいてかいてかいてかいてかいて──


──消した。


「好き」、というたった二文字がどうしても紡げなかった。
クシャクシャになった紙は、今もまだ机の引き出しに隠してある。

1/30/2026, 5:37:15 PM