蒼月火凛

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私達はいつまでも子どものままではいられない。
夢や希望、理想をひたすらに追い求める無邪気な子どものままでは・・・
けれど、だからといって大人になれたのかと問われれば、そうではない。
私達は皆、おとなになったフリを続けているに過ぎない。
現実を見据えたつもりで、世界をわかった気になって、なんとなく生活を送る。
昔の熱量も、不器用さも、輝く瞳も、純粋で明るい感情はいつの間にかどこかで捨ててきてしまった。
それは幼稚園の頃から始まり、社会に揉まれるたびに自身を曲げ、無機物になり、自信を放って、
期待しないように、信じないように、他人に興味を持つことなく、自分のすべきことをやっているフリ。
本当にしなければいけないことなんて、この世に何一つ無いというのに。
世間の言う幸せ、価値、自身の異様な愛。
貧困、環境汚染、暴力、戦争。
そんな大言壮語を吐いたところで自分自身何も変わらない。
すべて偽善の賜物。
小さな頃、本当に戦争のない平和を願った。
震災に苦しむ人を見て心から涙した。
人の役に立ちたいと、救い助けたいと心底思った。
みんなの憧れるヒーローになりたいと、志高く、プライド高く立ち振る舞った。
その頃の私が今の私を見るとどう思うのだろう。
これが将来の私かと落胆するだろうか、絶望するだろうか。
タバコを吸い、酒に溺れ、酷く凡庸な人生を歩んでいる何者でもない私に嫌悪するだろうか。
そうして現実を見て、味わって、感じて、小さな私もまた大人でも子供でもない存在になるのだろうか。
なら、私は子どものままでいいと、大人になりきれなくとも、現実を知り、突きつけられ、地面に転がるような思いをしようと、
胸を晴れる人でありたい。
子供に笑顔を向けられる人でありたい。
小さく凡庸な夢でも、恥じることない人で有りたい。
朝に飲むコーヒー、人とおしゃべりする時間、30分のランニング、真夜中にアニメや漫画を読む。
そんな幸せを夢だと、人生を彩り私を私たる者にしてくれるのだと、心から言える人間で有りたい。
それは子供ではない私だからこそ言える言葉だ。

5/13/2024, 5:52:25 AM