John Doe(短編小説)

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15の夏


15の夏、私は大人になった
意味のない理由ならいくらでもある
学校に居場所がなかったから
クラスの皆と私は違ったから
そんな心の閉塞感から逃げたくて
酒と大人の男に手を出した

けだるい夏の雨の下で
不登校になった私は酒ばかり飲んでいた
気がつけば夏休みに入っていたけど
どうでもいいことだった
幼稚な私は自分の将来に何の興味もなかった
愛を知りたくて、知らない男と交わった

15の夏
それは私がみんなより早く大人になった季節
家族のことなんてどうでもよかった
一人前の大人になったのだから
サイレンの音に吐き気がした
男はどうなったか知らない
私は入院した
病室の窓から入道雲を見た
私の身体に新しい命が芽生えたのを聞いた
少しも嬉しくなかった

15の夏、私は大人になったと同時に
自分自身を廃人にした。

6/28/2023, 11:58:44 AM