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夏草


きっとあの頃というのは夢や希望で満ち溢れ、
情熱や野望に生きる意味を見出していたのかもしれない。

何かに泣いて何かに笑って
華々しい日々も厳かな日々も、
同じように過ぎていくなかで
有限の時間を胸の中に刻み込んでいたのだろう。

諸行無常…

目まぐるしい毎日を、何十年、何百年と繰り返し
満たされた欲望も、叶わなかった願いも
全て見てきたのだろう。

無くなってしまったわけではない。

同じ景色ではないけれど、
夢ではない。確かにそこにはあった。

朽ち果てたわけではない。

人生は儚いものなのかもしれない。

けれど、生い茂る一面の夏草は、ただただ虚しいものなのか。

8/28/2025, 3:46:59 PM