原田 耕二の話。
道端の
手袋をひろう
ハンガーをひろう
蓋のあいたサバ缶をひろう
人の庭の柑橘をひろう
あの子の落としたひとひらのスナックを
大きすぎた子ども用の片靴下を
役に立たないAirPodsの片割れを
鳥として生きられたなら
それは我が子の暖を取るため
明日に命を繋ぐため
しかし私は地を這うやもめ
灰の色の空の下
薄ぼんやりした常夜灯
ブルーシートの海に囲まれ
自分と自分の熱を抱き
無限に続く夢をみる。
瞼は閉じていないとだめだ。
無数にある白の中から
一番綺麗なものを
穴あきポッケにしまうんだ。
ひとり ひととき
鳥にもなれず
ひとり ひといき
耳に冷たく。
1/6/2025, 10:44:08 PM