美坂イリス

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 空を見上げた。夏の光が眩しくて、私は空に手を伸ばした。

「……」
 堤防の上に座り直して、私は海を見やる。聞こえてくるのは潮騒と、海鳥と蝉の混声合唱だけ。
「……夏だね」
 誰にともなく私は独りごちる。時刻は午後二時十八分、七月三十一日。うん、完全に夏の盛りだ。

 見つめる先に広がる海、その向こうの青空。どこまでも、青く広がる世界はあまりにも大きくて。

 私は、一言すらの言葉も失くしていた。

8/1/2025, 3:16:38 AM