yunyun

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桜が辺り一面に咲き誇っている。
地面はピンク色の絨毯に覆われ、私はその上を歩いていく。花びらの雨は止むことを知らない。春が完全にこの地へ到来したことを物語っているかのように。
今日は、高校の入学式。今日から私は、高校生。キラキラした青春を夢見てこの高校に入学しようとしているどこにでもいる女子高生だ。
親と別れ、自分のクラスに行って席についたとき、隣の席の人が、話しかけてきた。
「名前、なんていうの?」
「え、えっと……」
「あ、オレ木下風也。カレーが大好きだけど、辛いやつは苦手なんだ。」
「……私は、遠藤陽菜。私も辛口は苦手だけど、カレーは好き、です。」
突然、話しかけられたからびっくりしてしどろもどろしたけど、なんとか答えられた。「今日からよろしくな!陽菜。」
「は、はぃ……。」
いきなり名前呼びされて、ドキッとしてしまう。初対面で名前呼びされたのは小学生以来だ。そのせいで、少し彼のことを意識するようになってしまった。
春がやってきた。その春は、私にも訪れたのかもしれない。
桜の花びらが一回転して、私の机を彩った。

4/10/2024, 10:36:29 AM