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【夏】2023/06/28

夏。
それは正しく、1年でもっと輝く季節。
若者が学校から開放され、羽を伸ばすのには最適だ。
海。かき氷。スイカ。そして水ぎ-

バシイイイイイイン!!!

「いってーな!何すんだよ!?」
「あんたこそ何キモイこと考えてんのよ!」

真夏の屋上にこ気味いい音が響くと同時に、親友ふたりの喧嘩が始まった。

「だって夏といえば海だろ!?海と言えば水着だろ!?
何も間違ったこと言ってねえじゃんか!」
夏休みを前にして浮かれていた涼介が頬をおさえながら叫ぶ。
「その考え方が気持ち悪いって言ってんの!」
そして涼介の頬をひっぱたいた張本人、楓が間髪入れずに言い返す。
-全く、いっっつも2人は喧嘩してばっかなんだから。
「はいはい、2人ともストップ!ほんとにもうすぐ喧嘩し始めないでよね!」
いつも私がこの2人を宥める役だ。
「でも美乃里だってそう思うでしょ!?」
「うん、今のは普通にキモかった」
「おい!!!!!」
冗談混じりに言い合いながら、お互いに笑い出す。

「涼介は頭がどうかしてる・・・・」

唐突にずっとことの成り行きを見守っていたもう1人の親友-誠也が口を開いた。
「どういう意味だよ、それ」
少しムッとしながら涼介が問返す。
-バカ!!涼介なにやってんの!
私と楓は顔を見合せて涼介を睨み返す。涼介はなぜ睨まれたのかわかっていないらしい。
その時、いきなり誠也が立ち上がった。
-あっ、やばっ。

「何言ってんだ!!!夏なんて虫が多いし熱中症になりやすいし静かに本は読めないしでいい事なしじゃないか!!
それこそ海なんて泳いでても何も楽しくないし、女子だって日焼けしたくないとか言ってるのに性能が確実かも分からない日焼け止めを塗ってまで肌の露出が多い水着着て本当に意味わかんないじゃないか!!」

-またこうなった。本当に長い付き合いなのに涼介の学習能力が低すぎる。こうなることぐらいわかってるのに。でも、誠也もちょっと言い過ぎなんじゃ・・・?
私も誠也の意見に賛成方向の人間ではあるのだが・・・

相性が正反対のこのふたりがずっと一緒にいられるのは本当に不思議だ。それを言うなら私たちもだが。

-でも、夏も案外悪くないかもね。

こうやって楽しく4人で言い合える日を目の当たりにすると私はどうしてもそう思えずにはいられなかった。


*この文章の一部で不快に思ってしまわれた方、
これは私の本心ではありませんが、そういった方々がいらっしゃった場合、深くお詫び申し上げます。
そして、いつもいいねを押してくださっている皆様、本当にありがとうございます!

6/28/2023, 10:43:07 AM