商店街 #1
(商店街や大通りの名前など全てフィクションです。)
ざっ。ざっ。
自分の足を引きずりながら歩く音だけが響く北大通り。
周りを見ると当たり前のように転がっている死体、街灯なんて1本もなくなってしまったこの商店街。
そしてこんなにボロボロになっても止まない、
空襲警報だ。
(ウゥーー)
「…また……まただ。」
今日空襲が来たのはこれで3回目...。周りには人なんていないのに。街灯なんて無いのに。
こんなところ襲撃して何がある?
そう、考えながら14歳の颯介は防空壕へ行った。
今日、6月11日は颯介の誕生日。家族と一緒に過ごしていた防空壕で、今は1人、配給でもらったミルクを飲んでいた。
「誕生日おめでとう。」
颯介はひとりで呟いた。
ミルクでは満足出来なかった颯介はまた呟く。
「軍粮精、食べてみたいなぁ......今日は僕の誕生日なのに...」
軍粮精(ぐんろうせい)。敵国語ではキャラメルだ。
配給は主にミルクと米だけ。颯介は一つだけ大嫌いな言葉があった。街には看板も立ててある、
「贅沢は敵だ」
6/11/2024, 11:10:01 AM