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子供のように育ち、子供のように笑い、子供のようにあどけなく、そんな人間になりたかった。
正直なことを言えば、反抗期なんてなかった。
親に反抗できるほど世間は生優しくはなかった。
生まれによって抵抗のアンペア数が決まるのだと気づいたのは、中学生のときだった。
ただ、惨めな暗い日々が続いた。
心折られるような罵声を聞いた。
何度も何度も罵られ、泥水に浸かった。
そんな中でどうやって私に立ち上がれと?
疑問である。
手を差し伸べてくれる人はいたが、深いところまで踏み込む人はいなかった。
ただ、私一人の身だけが、頼りだった。
苦しみは、二十代後半まで続いたが、それからは干からびたような日々が続いた。
こうして文字を打ち続けているのは、私がそれを乗り越えて生きているから。
それは、生の証である。
勲章などいらない。
戦った証は、血の味となって、口の中に拡がっている。
手のひらに巻いた包帯は、傷を負った腕を隠すためにあるのではない。
ただ、死にたかったあの日に、私は帰れるならば、永遠に続く苦しみなどない。と、言うだろう。

10/13/2023, 10:17:31 AM