お前は知らないだろう
俺があるひそかな想いを持っていることを
お前に勝利するという執念
表には出していないが、それが俺のひそかな、そして強い想いだ
お前に完敗したあの日から、俺は研究をし続けた
どうすればお前に勝てるのかを
今日、リベンジしてやる
あの日、俺はみんなの前で渾身のネタを披露したのだ
室内は笑いの渦に包まれ、俺の心は満足感でいっぱいだった
そう、お前のハテナで埋め尽くされたような顔を見るまではな
あの時のお前の顔は、「どこが面白いんだこれ?」と言わんばかり
俺は衝撃を受けた
他の友人はみんな笑っているのに、お前が笑わなかったという、たったそれだけの事実に悔しさが爆発した
だから、絶対にお前を俺のネタで笑わせたいと思ったのだ
今度はあの時とは状況が違う
正真正銘、一対一だ
お前が笑わなければ、誰も俺のネタで笑ってくれる者はいない
ここまで自分を追い込み、全力を出し切る
これで笑わなかったら俺はもう、お前をネタで笑わせられるほどのセンスはなかったのだと諦めがつく
それくらいの気持ちで練ったネタだ
お前の笑いのツボを研究し尽くした渾身のネタ、今こそ喰らうがいい!
「ブーメランとして使えそうな都道府県トップ5ー!まずは第五位ぃー……」
正直、つまらないとは思わないが、自分ではこのネタがそこまで面白いとは思えない
しかし、お前は好きなはずだ、こういうネタが!
これで沈黙ならもうお前のツボは俺の理解の範疇を超えている
というか、好きなはずだとか言ってるけど実は自信ない!
そんな俺の気持ちに反して、お前はあっけなく爆笑し始め、用意したフリップを出すたびにヒーヒー言い、最後は腹を抱えて「やめてくれ、笑い死ぬ」などと言っていた
やった、ついに勝ったのだ
俺の笑いは間違っていなかった
悔しさをバネに、俺は笑いの扉をこじ開けられたのだ
こうして俺は、あの時の雪辱を果たすことができ、ネタは大成功で幕を閉じた
2/20/2025, 10:55:38 AM