Rara

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部屋の片隅で



部屋の片隅に同居人がいる。
おそらく「人」ではないと思うが、特に何だという確証があるわけでもない。とりあえず一緒に暮らすなにかだ。

同居人はこんな存在だ。
目に優しい色をしている。
抱っこするのに適したサイズ感と形状である。
癒される温かみと手触りを持っている。
夕食の余りを分け与える必要がある。
決して、この世のものではない。

私は、それについてこれ以上の説明をすることができない。

得体の知れない同居人は、気がついたら部屋の片隅にいた。最初は戸惑って追い出そうとした。が、ほとんど動かないそれは、なぜか捕まえることができなかった。
次第に無害であると分かってきて、体温と手触りについても知るうち、晴れて同居人となったわけだ。

それは、部屋の片隅から離れない。
それは、この世のものではない。

今日も夕食の余りを部屋の片隅に置く。皿の中身が少しずつ減っていく。同居人に触れると、いつも通り温かい。見覚えのない、見慣れた同居人。優しい色をしている。
捕獲を試みると、やっぱり捕まらない。

それとの生活は温かい。

12/7/2024, 12:49:40 PM