『懐かしく思うこと』2023.10.30
同窓会の帰りに、昔よく遊んでいた場所に行くことは、ベタな行動だと分かっている。それでも、そんなベタな行動をとったのは、俺たちが酔っぱらっているからだろう。
高校生の頃によくたまり場にしていた、タコの遊具のある公園。久しぶりに訪れたその場所は、すっかり様変わりしていた。
あれだけ異彩を放っていたタコの遊具は無くなっていて、ジャングルジムもブランコも無くなっていた。
あるのはベンチと砂場だけの、ただの広場になっていた。
「あらぁ、なんもないね」
残念そうにコイツは言う。
経年劣化と、最近のアレコレで公園から遊具が消えている。それはここの公園も例外ではなく、危ないからという理由で広場になってしまったのは、噂で耳にしていた。
噂を聞いたころはなんとも思わなかったが、コイツと一緒だと寂寥感に襲われて鼻の奥がツンとなった。
あれがあそこにあって、それがここにあってとコイツと二人で公園を歩く。
ジャングルジムでは当時つるんでいた不良仲間と、近所に住むガキどもで高オニをした。タコの遊具では雨の日に、ヤツと雨宿りをした。
そんな日々を懐かしく思うのは、俺たちが大人になったという証しだ。
「鬼ごっこやらねぇか」
「いいね、やろう」
俺の提案にコイツは迷うことなく頷く。
どっちが鬼かどうかは関係ない。
俺たちが青春を過ごしたこの公園の、在りし日を思い出すように、俺たちはぶっ倒れるまで走り回った。
10/30/2023, 12:05:42 PM