『また会いましょう』
優しく頭を撫でてくれた貴女が酷く美しくて
まるで時が止まったように感じた
貴女の為だけに耐えていた雨も
ジットリとした夏の気温も湿度も
汚らしい路地裏も
赤い花を手折ろうとした肉塊も
服の乱れた自分でさえも
艶やかな黒髪を
長く弧を描く睫毛を
雪のような白肌を
吸い込むようなワイン色を
甘く卑猥な椿の香りを
自分に感じさせてくれるような演出に思えた
女性が女性に惚れるなんておかしな事だろう
生物学上不必要だと言われるだろう
でも彼女の存在は理性に否定を与えない
強く記憶にこびり付くのは
ほのかに上がる口角と
それに従う溶けるような赤い紅
また会いましょう
貴女の居ない
貴女の居た場所で
貴女のように美しく
貴女に会える事を願って
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〜あとがき〜
次を思わせるなんて残酷だろうけど
次を期待してしまうのは愚かなんだろうけど
憧れに囚われた少女の話を書きたかった
11/13/2024, 1:01:45 PM