『残念ですが治療方法がないのです』
その瞬間
若い医師は患者の私を手放した
天地を見失いもがく恐怖がよみがえる
あれは何年前?
常夏の楽園
ダイビング中
不慣れなボンベに反転する身体
すがるものはなく
一瞬にして向かう先を見失う
水面はどこだ
全身が空回りしはじめる
だ、だれかああ
晴天の霹靂
私を一人にしないで
あなたは誰なんて言わない
名前は知らなくていいの
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聞いたこともない病名を告げられ
生活が180度変わった
取り憑かれたように本やネットで細切れ情報を集め続けた
病気のこと、名医のこと、専門医のいる病院、
研究の動向
難病の烙印を押された後は恐怖と孤独に押し潰され続けた
ある時、闘病されている方の赤裸々なblogに出会い、その世界を垣間見る手立てを得た
同病の見知らぬ方の手記が私を孤独から救い現実世界へ連れ戻してくれた ありがたかった
家族にもできなかったことなのに
治療の手立てはなくても一人きりではないと感じる努力は続けたい
2/19/2025, 11:05:15 PM