二人ぼっち
宙に浮く夢から覚めて、現実に引き戻される感覚を覚える。また今日がやってきた。眠い目を覚ますため顔を洗い、朝食の準備を始める。トマトときゅうりを適当な大きさに切って二枚の皿に分け、家にある最後のチーズとハムを乗せてパンを焼く。焼けるのを待つ間に、二階の寝室へと向かった。ベッドの上でだらしのない顔を晒して眠る男を揺さぶる。
「おい、起きろ。もう朝だ」
『んぇ…もう朝ぁ?』
まだ寝たいとでもいうようにゆっくりゆっくり体を起こす。グイーっと伸びをしてそいつは如何にも眠そうな眼を擦ってようやくベッドから立ち上がった。
『ご飯何ー?』
「トマトときゅうり、あとパン」
階段を降りながら会話する。
『あれ、チーズとハムは?』
「今日のが最後だ」
『やっぱりかぁ、そろそろ牧場とか作らない?』
「柵ぐらいは作りたいな、てか、動物ってこの辺いるのか?」
『探してこなきゃだね』
朝食を平らげ、外出の準備をする。でかめのリュックに水やタオル、懐中電灯、しっかりとした縄、あとはナイフなんかも入れていく。
「なあ、俺の上着知らね」
『オレの部屋にかかってたよー』
他愛のない会話が家の中を満たす。そうして準備が完了して、午前八時、俺たちは玄関のドアを開いた。ドアの向こうにはすべての建物が廃墟と化した廃れた街。背の高い建物は崩れているものもあるので、人のいた頃より空が広い。
「じゃあ、今日の目標は動物と牧場の建材ってとこか」
『おっけー、じゃあ出発!』
そう言って二人で足を踏み出す。
俺たち二人ぼっちの今日が、また始まった。
3/21/2026, 3:33:07 PM