𖤐·̩͙ 病室
ザーザーという雨の音で目が覚めた
「…今日は雨か。
じゃあみんな来ないのかな…」
交通事故に逢い入院すること2週間
心優しき友人達はほぼ毎日お見舞いに来てくれる
…だが、雨の日は例外だ
雨の日はきっとみんな外に出たくないんだと思う
「おはようございます気分はどうですか?」
「先生。おはようございます」
「おはようございます。朝食を持って来ましたよ」
病院食は味が薄くて
みんなが持ってきてくれるようなお菓子が恋しくなる
「先生。今日は雨だからみんな来ないかな?」
「どうでしょうか…」
どうやら先生を困らせてしまったようだ
先生は仕事のため一旦病室から出ていった
朝食を食べ終えると
面会を出来る時刻を過ぎた
「………誰も来ないかな…」
するといきなりガラッと病室のドアが開き
「お見舞い!来たよ!」
「え…びしょ濡れじゃん!?なんで来たの?」
「だって〜、会いたかったんだもん。独りじゃ寂しいでしょ?」
「朝食食べ終わりましたか〜?
……お友達ですか?」
「はいっ!」
「と、とにかく、タオル持ってくるので…」
先生はそれだけ言うと病室から出ていった
すぐに病室に戻ってきて
「どうぞ」
「ありがとうございまーす」
「全く〜。こんな雨なのに〜」
「えへへー」
起きた時はなんだか天気も心も雨模様だったけど
友達が来てくれて、心はすっかり晴れた
普段は静かな病室に
笑い声が響いた
8/2/2024, 10:52:04 AM