その日は嫌なことがあって俯いてとぼとぼ帰っていた
小石が目の前にあったら蹴り飛ばし
前から人が来ても避けずに歩いた
完全に八つ当たりだった
この嫌な気持ちを早くどこかへやりたかった
カーカーとカラスの鳴き声がした
上を見ると燃えるような空が目の前に広がっていて
真っ黒のカラスが燃える夕日に向かって飛んでいた
少し風が吹いた
哀愁を誘うようなそんな雰囲気を感じた
たった1羽で広大な空を飛んでいるカラス
炎のような空
少々の風
僕の心の冷たさを溶かすのに充分な景色だった
僕は夕日に背中を押され前を向いて駆け足で帰った
11/4/2024, 10:56:17 AM