『冬休み』
社会人の私たちはある朝に駅から学生服の子たちが一斉に姿を消す現象に遭遇し、そのときに初めてあの存在に思い当たる。
「冬休みか……」
通勤電車の人口密度が減り、おしゃべりで盛り上がる若い子たちがいない車内のなんと平穏なことか。つり革に掴まる人の眉間のしわが幾分薄らいでいるようにすら思える。
もうすぐ職場の最寄り駅へと電車が到着する。私たち社会人の冬休みはもう少しだけ先の話だ。同じ電車に乗る人たちみんなが無事に仕事を納められますようにと願いながら年末進行の業務が残る道を私は歩き始めた。
12/29/2023, 12:22:31 AM