良い歳をして未だにぬいぐるみを手放せない私がいる。
大好きなあいつとはゲームセンターで出会って、当時苦手だったクレーンゲームにたくさんお金を飲み込ませてようやく連れ帰ったのだ。
あれから早10年が経った。
引越しの度、「邪魔でしょう捨てなさい」と周りに言われ続けても尚ずっと連れてきた。
余談だが、あいつを手に入れた後しばらくクレーンゲームにハマり、たくさんのぬいぐるみを連れ帰ったことがある。その時期はどんどんぬいぐるみが増え、自室が兵馬俑さながらの状態となった。…今思えばあれは恐ろしい数だったな。
結局そのぬいぐるみ達はすべて寺に寄付したが、最初に手に入れたあいつだけは今もここにいる。
何をするでもなくただ寝室に置いてあるだけなのに。不思議と…変わらず大好きなままのは何故だろう。このとぼけた顔が私を癒してくれているのだろうか?
もういっそのこと棺桶まで一緒に連れて行ってしまうのも悪くないのかも。
……連れて行けるかわからないけれど、願わくば共に。
2025.3.19『大好き』
3/18/2025, 10:37:28 PM