しるべにねがうは

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街灯っていいな
夜は明るくて安心できて
昼間は点いてなくても邪魔じゃないしなんならちょっとかっこいいデザインのものが多いし

私みたいに何やっても何やらなくてもお荷物って事ないもんなーーーー!!!!!
立てば躓き歩けばぶつかり座っていても周囲の邪魔!!
どんくさい巨躯。ウドの大木。建て付けの悪い扉。
体力もないし持久力もないし筋力もない。
私についているのは脂肪です。
走ったらすぐ息切れするしご飯の量は食べれない。
そんなにデカくて食べないの!?って何回驚かれたことか。
お菓子もそんなに食べられないし。
ポテチは3回くらいに分けて食べる。
あんまり食べるとご飯が入らなくなるから。

飲み会も苦手。社会人になって新入社員歓迎会とかあったけど最初の1回か2回くらいしか行ってない。人と話すの苦手だし。うまく返せないし。どう返そうか考えてる間に他の人が返して話題変わるし。そんなこんなでぼっちです。半年たったけど社内に友達とかいません。年上の先輩社員さんからおせんべいとかもらえるのがありがたいんですがあんまり食べられないので最近は断らせていただいております。好意はありがたい。

そして今の私は朝からミスを連発し先輩に気を遣わせ10分程休憩に入らせていただいておりますー!!!これはサボりとかではなく!!作業に集中していたら休憩時間に入っていることに気づかず!それで10分他の方が作業している間に休憩させていただいております!!

うわぁぁぁぁあ今日は朝から寝坊するしパンは焼けてないし洗濯のスイッチ入ってなかったしパンプスのヒール折れたし資料作成のサイズ間違えるし拡張子変更うまくいかないしテキストミスったしもう、もう、もう!!

「街灯になりたい……」
「何言ってんだお前……」
「オワーーーーッ先輩すみません!!!休憩終わりですね!今行きます!!」
「様子見に来たんだよなんか思い詰めてんなと思ったから」
「…………はい!」
「何の返事なんだそれ。思い詰めてんなやっぱり」
「いえ、あの、えと、大丈夫です!完全復活!」
「大丈夫大丈夫、ちょっと麦茶淹れるだけだよ、お前はあと5分休憩だし」
「でもあのほら、もう元気ですし」
「今日外気温35度越えだってよ。調子悪くなるよ、誰でも」
「私若いですし!」
「休める時に休めよ、大事だぜ」
「……私、要領悪くて、鈍臭いし。他の方の何倍もやらなきゃ追いつけないですから」
「一生懸命と真面目は美徳だ。でもな、『仕事ができる』ってかっこよさには勝てねぇんだよ」

そんなのは、わかっている。
失敗するたびに思い知る。笑って、誤魔化して。
いつも本気でやっているのに、うまくいかない悔しさを誤魔化して。鈍臭いからとか。要領が悪いからとか。頭が悪いとか。
自分を下げて。非難して。仕方ないやって諦めて。
どうしようもないから人と仲良くして許してもらいたいのに、それもうまくいかなくて。もうどうしろっていうんだ。

「だから仕事できるようになるまで自分の事悪く言うな。できる。一回一回諦めるな。次いけ。根気強くやんねぇとだが、絶対できるようになってくから。な」
「で、できるようになるって言ったってそんなのわかんないじゃないですか、今全然出来ないのに」
「わかるよ、お前一生懸命だしプライド高いし負けるの嫌いだし同期全員ライバル視してるし」
「ななな何を根拠にそんな法螺話を繰り広げてるんですー!?」
「周りめっちゃ見てて成績表めちゃ睨んでて一回やったミス2度とやらねぇの凄いんだぜ、私は全然逆だったからな、めちゃくちゃ怒られながら成長した」
「つまり怠惰で周りがどうでも良くて向上心もなく自分のミスを認められず注意されても繰り返していた時代があったんですか?」
「嫌なところだけ抜くな」
「で、怒られながら成長したって事は私これから怒られますか!?いやです!!私は褒められて伸びます!!今日褒められる要素一歳ありませんでした!!つまり説教確定!嫌です!!」
「怒られた分倍褒められたわ!舐めるな!!」
「先輩が褒められて育ってもそれ今の私に関係ないですし!」
「ある。確かにこれからお前を褒めはしない。説教もしないが」
「…………何しに来たんですか?」
「慰めに来てやったんだよ。確かに他の同期と比べてお前はゆっくりな感じだ。でも確実に成長してる。お前の同期がバケモンなだけだ。食らいつこうとしてるお前は凄い」
「……ありがとう、ございま、す…」
「だから焦るな。休む時は何も考えず休め。わかったか」
「…………」
「わかったか?」
「えぇ、はい多分」
「今のままでいいなんて言わないからな。お前は仕事ができるようになる。絶対にだ。」
「本当ですかねぇ…?」
「コツコツやってる奴は特に強いからな」

じゃ、5分後戻ってこいよ。
なんでもない風に去ってしまった。背筋が伸びていて、かっこいい。あの人が街灯だったら。んー、コンビニエンスストアだな。安心感ある。なくなったら困る。行き着いたら安心できるしなんか大丈夫だって思える。仕事バリバリできる。

あんな風になりたい。
あんな風に、なれるかな。

ちょっと大きすぎる夢かもしれない。
出来っこないって言われるかもしれない。
だけど偉い人も言っている。千里の道も一歩から。
チリも積もれば山となる。失敗は成功の母。

だからやっぱり、食らいついていくしかないのだ。
先輩ほどは輝けずとも、私は私らしく。
みっともなくとも、足掻いていくのだ。

7/8/2024, 12:14:47 PM