井戸蓮路

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目が覚めると私は見慣れた天井を見て、
今日も生きている、と感じる。
朝気が付くと死んでいた、なんてことがあったら困る。
だから私は自分の家の見慣れた天井を見て
まだ天には昇りたくない
まだ私はやり残したことがある
まだそちらに用事はありません
と祈る。
毎日
毎日

今日も目が覚めた。
自分の部屋にしては随分と高い見慣れない天井
視界がぼやけているのか、はっきりとものを捉えられないが、自分の部屋では無いことに気付くのにそう時間はかからなかった。
周りを見渡すと、やはり見覚えのない物ばかり。
ぐらぐら、ぐわんぐわん
視界がさらにぼやける。意識もまた遠のく。

次に意識を取り戻した時、私は見慣れた天井を視界に収めることが出来た。
「また切れちゃったかぁ」
薬箱を漁る。到底1回分とは思えない量の錠剤を口にする。


彼女は一体いつ目覚めるのだろうか。

7/10/2024, 10:15:08 AM