ピコン。
通知オンと共にスマホの画面を勢いよく見る。
ドキドキと叫ぶ心臓。
段々と紅潮していく頬にぶるぶると頭を振り、心を落ち着かせる。
しかし、いざ画面を見れば
【夏限定!今だけ特別割引!!】
と、先日入れたショッピングアプリの通知が来ているだけだった。
エベレストの頂上にいた心は一気にマリアナ海溝に沈んでいき、俺はイラつきを隠すかのように布団の中に潜り込む。
意味もなく彼女とのLINEを開き、
【今度遊びに行かない?二人で】
というメッセージに既読すらついていないことを確認してため息を吐いた。
人生で初めて、好きな子ができた。
勇気を振り絞って交換してもらったLINE。
ポツポツと続くやりとりにもどかしさを感じながらも、手には幸せを感じていた。
「すき」の二文字はいまだ送れない。
もしかしたら彼女は俺の気持ちにとっくに気づいているかもしれない。
それでも、ほんの少しの勇気がたりない。
彼女とのやりとりを遡って、なんの発展もしていない現状に再びため息が溢れる。
別に気にしてないんかない。
気にしてなんか……。
ピコン、と音が鳴った。
思わず驚いて落としそうになってしまったスマホをしっかり握りしめる。
今度はショッピングアプリの通知音じゃない。
緊張からか、手汗がドッと流れる。
珍しく神妙な顔をした俺に、「キモ」と妹が毒を吐いたが、それどころではない。
俺は震える指を必死に動かし、LINEを開いた。
【いいよ。どこ行こうか】
一時間越しの彼女からのLINEに、俺は密かにガッツポーズをしたのだった。
『君からのLINE』
9/15/2024, 12:43:26 PM