三軒隣の家に住んでいる女の子。
僕は彼女のことが好きだった。
毎日一緒に遊んでいた。日が暮れるまでずっと。
少し離れた広めの公園にあるジャングルジム。
二人で登って遊んでいた。
「ぃったぁ!」
彼女が叫び声を上げる。
慌てて下の方にいる彼女を見ると、どうやら手を伸ばした彼女の指を、僕が踏んでしまっていたらしい。
彼女の手を取り、引っ張り上げる。彼女は涙目で僕を睨み付けてきた。
「ごめん!」
必死に謝るも、彼女は何も言わない。
許してもらえないかもしれない。僕も不安で涙目になる。
言葉のないまま、ジャングルジムのてっぺんで二人腰掛け、夕陽を眺めていた。
綺麗な光が涙で滲む。
守らなきゃいけない女の子を、僕が傷付けてしまった。パパやママと同じくらい大切なのに。
踏んでしまった手を取り、尋ねる。
「まだ痛い?」
彼女は頷く。
その指に、優しく口を付けた。
好きな子には、ここに嵌める指輪を贈るんでしょ?
傷を付けるんじゃなく、いつかそれを着けてもらえるように。絶対にもうこれ以上悲しませないと、笑顔にさせてみせると誓う。
夕陽に照らされて、二人の顔が赤く染まった。
『ジャングルジム』
9/23/2023, 9:16:35 PM