彼は、愛しているとは言わなかった。 真正面から好きだなんて言ったことも、ない。 それでも、わたしは知っていた。 憎まれ口を叩いても、どこか柔らかに緩む瞳の奥。 髪を掻き回すとき、けっして雑にはしない指先。 どこか赦しを乞うようにして頬に触れるくちびる。 わたしが眠りに落ちる直前に掛けられる静かな声。 愛しい人。 わたしは同じようにできていましたか? あなたを上手に愛せていましたか? #恋物語
5/18/2023, 11:16:06 AM