鏡を見ると、そこに映るのは醜い醜い自分の顔で。
今にも死にそうなその瞳は、じっと鏡の自分を見つめていた。
嗚呼、嫌だ。見ないで欲しい。
私を嘲笑う人たちのように。私を私を蔑む人たちのように。
ぎ、と歯を食いしばる。
嗚呼、居なくなってしまえばいいのに。
「よし、それじゃあ居なくなろうか」
「は?え?」
私の言葉がどこからか聞こえた。
私は一言も喋ってない。何。誰。なんなの。
困惑する私の視界の端で、何かが蠢く。
それは鏡。鏡の方。
恐る恐る視線を向ける。にんまりと笑う私が、そこに居た。
「鏡の世界は良いよ、誰も笑わないし誰も蔑まないもの!」
ほらおいでよ。と腕を伸ばされる。
ああ、嫌だ。なんて。居なくなってしまいたいと思っていた感情が消え失せるほどの恐怖が私を襲う。
そんな私の心境の変化など知る由もないもう一人の私の手が、私に触れた。
ぐ、と鏡の方へ引っ張られる。
嫌だ。嫌だ。誰か、誰か助けて。
なんて、言える暇などなくて。
私はもう一人の私に、鏡の世界へ引きずり込まれた。
「鏡/20240818」
8/18/2024, 11:55:49 AM