「俺の女神さま」
チャンスの女神は前髪だけと言うけれど、俺の女神は俺の近くをぐるぐる二周していた。
一度、通り過ぎてからその存在に気がついて、もっと周りを見ていれば、と後悔。
それから しばらくして、もう一度現れたので、すかさず捕獲。
「もう、いきなり何!」
腕の中で女神がジタバタともがいている。
「急に抱きつくとか、痴漢と思うじゃない!」
睨みつけてくる女神を無視して、彼女の肩に頭を乗せた。
「なに。これから部活じゃないの?」
「うん。今日、役を決めるオーディションだから、パワーとチャンスをチャージしようと思って」
彼女のため息が聞こえ、ぽんぽん、と頭を撫でられる。
「ま、テキトーに頑張って」
彼女はいつも、俺の心を平穏にしてくれる女神だ。
────追い風
1/8/2025, 7:56:09 AM