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意味がないこと



週に一度、お仏壇の掃除をする。

灰を捨てて、毛払いでホコリを落として、柔らかい布で拭いて、掃除が終わったら蝋燭に火をつけて、お線香に火を灯して、おりんを鳴らして手を合わせる。

数秒拝んだ後はお仏壇を見上げていつもの挨拶をする。

「ど〜もこんにちは〜、今日も程よく元気に生きてま〜す」

手は合わせたまま、語尾を伸ばした間の抜けた喋り方で仏壇に話しかけ続ける。

「今週は〜、料理中に指切ったり手を火傷したりと台所を中心に怪我が多かったんだよね〜、でも料理は見た目も味も大成功〜! 美味しく出来過ぎて毎日ご飯お代わりしちゃってさ〜、来週は体重計乗るのやだな〜」

最初は幼い頃に見たお仏壇に手を合わせながら何かを呟いていた祖母の姿を真似て軽く挨拶する程度だったが、いつしか軽い挨拶がちょっとした愚痴へ、ちょっとした愚痴がそこそこの近況報告へと進化を遂げ、今では小さな蝋燭が燃え尽きる数分間だけの仏様限定雑談ライブ配信というノリでひたすらお仏壇に向かって喋り倒していた。

毎週こんな事をして何の意味があるのかと聞かれたら、ぶっちゃけ神も仏も信じていないので全く無いとしか言えない。

「でさ〜……ってもう蝋燭燃え尽きそうじゃん。
それじゃあ今回はもう終わりま〜す。 また来週〜」

でもまあ、あれですよ、楽しければいいじゃん的な?

11/8/2024, 7:18:46 PM