展望台から望んだ池は水面に緑を映していた。
それがあまりにも綺麗だったから、
もっと近くで見たいと思った。
茂みに分け入り、薄暗いぬかるみを行く。
池のほとりに辿り着いた時には、
靴がすっかり泥だらけになっていた。
目の前には、澄みわたった静かな池。
そろりと覗き込むと、透き通った水の向こう、
ゆらゆら泳ぐ魚やキラキラ輝く石、
見たことのない神秘的な世界が広がっていた。
夢中になって眺めていた僕は、ふと展望台を振り返る。
遠く、写真を撮る人たちの姿が見えた。
みんな、どうして降りてこないんだろう。
この光景を見ないで帰るなんて。
僕は池の底に目を戻す。
なんだかもったいない気がした。
5/21/2023, 1:36:27 PM