道を歩いていると綺麗な石を見つけた。
私はそれを麻袋に入れて大事に抱えて歩みを進めた。
それをしばらく続けると麻袋は綺麗な石で一杯になって、気付けば抱えながら歩くのが苦痛になっていた。
足は引きずって麻袋を抱えていた腕は傷だらけになっている。
何のために私は抱えているのだろう。
とっても大切だったはずなのに。
いつから苦痛に感じるようになったのだろう。
とっても大切だったはずなのに…?
ふと横を見やると屈んで麻袋から石を捨てている人の姿が目に入った。
私はそれを見て「拾っておきながらなんて冷たい人だ」と思う気持ちと同時に「羨ましい」と感じた。
羨ましい…?
自分の中に湧いた嫉妬という感情に戸惑い、腕から麻袋を落としてしまう。
しかし、重りを手放した時に感じた苦痛からの解放。
私は1つ、また1つと麻袋から石を取り出してゆっくりと外に置いていく。
気付けば麻袋の中は今でも綺麗に輝き続けている石だけが残っていた。
私は麻袋を再び抱き締めるようにして抱える。
その麻袋から感じる温かさは私の歩く力の源となってくれた。
5/17/2025, 11:55:21 AM