僕と一緒に
あいつが何か一緒にやろうと言い出す時は、決まってロクでもないことだった。
人あたりは良くて、立ち振る舞いも口調もやけに丁寧で柔らかいから、他人から見れば悪い奴には見えないんだろう。皆、分かってない、あいつの実像を。けど俺は知ってる、あいつが本当はどんな奴か。いつも最後には俺に汚れた面倒事全部を押しつけて逃げ出すんだ。何度だって繰り返されてきた。
今回の尻拭いで、とうとう俺は自分自身が嫌になった。俺が這いずり回っている間に、あいつは平然と彼女に近づいていた。優しい笑顔を振りまいて。
いい加減分かった。あいつは俺をすり減らしたいんだ。なら、あいつの望み通りだ。彼女は去って俺には何もない。これで満足かよ。
あいつこそ知ってるのかもな。何をすれば俺がボロ布みたいに端からほつれていくのか。
もう二度と、あいつと一緒に何かをやろうなんて思わない。金輪際関わりたくない、会わない。
連絡先は削除したし、あいつの名前を呼ぶことさえしたくない。もし俺のところに来たって、帰れと言って目の前でドアを閉めて、それきりだ。
だから今、俺はさっさとドアを閉めるべきなんだ。
──何もしなくていい……
消え入りそうな声であいつはそう言った。
いつもは言葉巧みに俺を振り回すくせに、そんなことを口にするなんて初めてだったから、俺は。
──ただ、僕と一緒に……
震える声が掠れて、そこで途切れた。
その続きが何なのか、痛いほど分かってしまった。本当のあいつを知ってるのは俺だけだから。
だから俺は──
9/23/2025, 10:04:55 PM