lily

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「…いいの?、本当に」
こっちを見てくる目はとても真っ直ぐなのに、
声だけが不安に呑まれている。
『…うん』
「…そっかぁ」
ふわりと笑う。
僕はそんな風に綺麗に笑えないから、
静かに海を見る。
そして、『それ』を海へ投げる。
ザポンという音を立て、そして沈んでいく。
海の底へ沈んで往く大切なもの。
いや、海が包み込んでいるのかもしれない。
でも、それでも、
美しいことには変わりなくて。
クラゲの死のように、
消えてしまえばいいと思う。




『それ』とは何なのか、
海の底のみぞ知る。

1/20/2024, 11:09:05 AM