声が出なくなった。
彼女の声が出なくなった。
風邪を引いたわけでも、病気になったわけでもない。
突然彼女の声が出なくなったのだ。
普段から物静かな彼女だから、コミュニケーションを取るのは、そう難しいことではなかった。
喋らずとも伝わる。
ひとつだけ困ったことが、彼女の歌が聞けないことだった。
街で流行りの歌手より、僕は彼女の歌のほうが好きだった。
なのに、今はその歌声が聞けないのだ。
(いつか聴けるようになるのかなぁ?)
じっと彼女を見つめると、思っていることが伝わってしまったのか、彼女は困ったように笑った。
11/29『失われた響き』
「冷たっ」
自分の悲鳴で目が覚めた。
突然覚醒した頭とまだ寝ぼけている目をこすって、ゆっくり体を起こした。いや、起こそうとした。右側の布団が持ち上がらなかったのだ。
犯人は最近同棲し始めた彼女。猫のように体を丸めて僕の隣と布団を陣取っている。
「また……?」
思わず口について出た。
朝が冷え込めば冷え込むほど彼女が布団に潜り込んでくる確率が上がってくる。
それだけならいいのだが――。
(毎回冷たい足を僕の足であっためるの、やめてほしいんだよなぁ……)
11/28『霜降る朝』
毎日忙しい日々
深く呼吸をすることすら忘れて
溺れてしまいそうになる
そんな時こそ深呼吸して
リセットすることを忘れずに
たまには
好きなことする日もいいよ
11/27『心の深呼吸』
11/30/2025, 6:10:59 AM