耳を澄ますと
祖父母の亡き後、家も取壊し更地になった田舎へ車を走らせる
田舎独特の空気感、森に囲まれたマイナスイオンの肌感そして少しだけでも足を踏み入れた森の土を踏みしめる体感、耳を澄ますと人工的な喧騒の街の中では聴こえない自然の音が耳の奥に届く
田舎の晴れも好きだけど
田舎の雨はまるで様相を変える
木の葉に落ちる雨音が遠い幼い日のあの日に
僕を連れて行く
あの日、僕は従兄弟と森から帰る途中だった
確かに一緒に走り森の中にある簡素に建てられた村民の休む場所に雨宿りしたんだ
従兄弟は「寒い」とガタガタ震えていた
この夏の雨に打たれて寒いと言う程、軟弱なカラダでは無いのに…
僕はドア近くに置いてあった作業着を
従兄弟の肩に掛けてオデコに手をあてた
とても冷たくて熱が無いと却ってホッとしていた
「ちょっと外の様子を見てくるよ」と雨を見に
ドアを開けて外へ出た
何となく従兄弟といて息が詰まったんだ……
怖かった
耳を澄ますと耳の奥で小さなノイズがなっていた
その後の記憶は無くて
小屋で震えていたはずの従兄弟は
その日の朝、既に自宅で家族に看取られて亡くなっていた
毎年のように夏休みなると祖父母の家に来ては
従兄弟と遊んでいた僕と遊びたかったのかも知れない
僕は従兄弟の墓参りの後、いつもあの小屋のあった場所に座り、缶ビールを二本開け軽くコツン乾杯して森の中でビールを飲んだ
5/5/2026, 8:06:22 AM