耐え難いほどのつまらなさで
夏の死に損ないが生きている
句読点さえ必要ないほど近距離で
美しい言葉を聞かせて
地獄のような声で囀って
あなたがくれる全ては私の蜘蛛の糸だから
欠陥を愛していたい
完璧が機能するとは限らない
単調さに死ぬ前に殺してほしい
彼女は私に囁いた
こんな夜更けに私たち二人の他に誰がいるというのか
彼女はそれでも耳元で言う
「お前がぜんぶ不幸にした」
もはや彼女がそう言っているのか
幻聴が脳を巡っているのか分からない
まるで質の悪い蓄音機みたいだ
夏だった
蒸し暑い夏の夜だった
扇風機は首を回して否定し続ける
虫は断末魔を響かせながら窓越しに責め立てている
私はしきりに瞬きを繰り返して
彼女は地面を見つめている
何もかもを肯定出来たらよかったのに
夏の熱気に殺された
抜け殻だけが生きていた
夏の死に損ないが生きていた
冬になったら生まれ落ち 春になれば朽ち果てる
自分が死んでいるんじゃないかと思うようなつまらなさに息が詰まって、うまく吐き出せない。周りの価値観なんかを貼り付けて本物の私は体の内から腐って無くなったのではないかと個人や才能や思想なんかを失った感覚に囚われている。常識のプロパガンダに潰されそう。冬になったら生まれるのは1年かけて潰された自分の抜け殻になった死体だけだ。
冬になったら
11/17/2024, 12:12:21 PM