【揺れる羽根】
わたしたちはいつも、ずっと一緒に過ごしてきました。
朝は日の光に照らされたあなたの寝顔を見て、朝ごはんはいつも一緒に「いただきます」を言って、出窓で風を感じながら駄弁り、時間が来たら一緒に料理をして、プロジェクターに映した映画を見て、夜は月の光に照らされたあなたの寝顔を見て眠りにつく。
そんな毎日をあなたと作ってきました。
このままこの地で、二人だけで生きていくのだと思っていました。
だけど、どうやらそう思っていたのはわたしだけだったみたいで。
あなたはその背中に生えた美しい羽根を広げて、この場所から遠く離れた世界に行こうとしました。
わたしはそれを許したくなかった。でもあなたが、あまりにも輝いた表情をしていたから。
わたしは手を離してしまった。この二人の場所から、あなたを解放してしまった。
今日も遠くで揺れ続けているあの大きな羽根は、日々大きさと美しさを増し、輝き続けているのでしょう。
10/26/2025, 8:23:16 AM