夜桜美桜

Open App

物心ついた時には父はいなかった。

小学生の頃から母は毎日違う男を家に連れてきた。

私のことなど気にもせず毎夜毎夜、嬌声を上げていた。

小学高学年になると殴られるようになった。
蹴られるようになった。
罵倒罵声なんて毎日だった。

それでも愛されようと頑張った。

でも結局は無理だった。

そして今。

自分はビルの屋上にいる。

柵は既に越えていて一歩踏み出せば真っ逆様だ。

これで死んだら母は寂しがってくれるだろうか。悔やんでくれるだろうか。愛してやれば良かったと思ってくれるだろうか。

きっと無理だ。死んだところで喜ぶだけだ。

「…寂しいなぁ」

そう言って自分はビルの屋上から一歩踏み出して空を飛んだ。

ーーーーーー

寂しさ

12/20/2024, 9:33:45 AM