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(お題とは関係ありません)

あれから15分程経っただろうか。ミユはもう立ち上がれるぐらいには回復しており、激しい痛みも殆ど無くなっていた。
「いやー魔女って便利だねー」
ミユは体を捻りながら言った。
『ふん、本来ならそれぐらいの傷、5分もかからずに治る』
「誰が5分で治したのよ」
『師匠』
ミユは呆れた顔になった。ミユから見たらメイダールは師匠こと幻の魔女、レイズに捨てられたか裏切られた様にしか見えなかった。それにもかかわらず、彼は今でもレイズを慕っているし尊敬している。やはり魔女の関係は歪なのか。ミユはそんな事を考えながら腰を下ろす。辺りを見渡してもそこには木しかない。森の中。と、言うには不自然な程静かだった。
「.....傷が治ったら、どうする?」
ミユは空を見上げながら言った。真上に登った太陽が木々を照らしている。葉が生い茂っている為、ミユの所に直接日光が差すことはない。
『そんなの決まってる』
メイダールが力強く答える。
『師匠を探しに行く』

ミユは目を瞑りながら横になった。なんとなく分かっていた。というか分かりきった事だった。彼にも腑に落ちない事が沢山あるのだろう。尊敬する師匠から突然突き放されたのだ。それにミユも彼女に用がある。自分をとっとと人間に戻してほしい事だ。彼女はなぜか知らないが、魔女狩りの入隊試験中だったミユを攫い、魔女の権限を与え、メイダールの意識を移した。魔女の権限を持つ事すなわち、魔女になる事だった。はっきり言って迷惑だった。魔女は世間の嫌われ者。村や小さな町を襲っては多くの人間やモンスターの命を奪ってきたらしい。自分がそんな魔女になってしまったら碌に街も出歩けない。すぐ魔女狩りに捕まり、火炙りや串刺しにされるだろう。ミユはまだ異世界転生してやってきたこの世界を堪能していない。チート能力も無ければ、強力な仲間もいない。のんびりスローライフも一国を築く事もできてない。それらを楽しむ為には第一に魔女から人間に戻る事が必須だ。
「私もアイツに会って話したい事が山ほどあるからね。賛成〜」
ミユは空を見た。風が吹いていて草木が揺れる。揺れる葉の間からたまに太陽が見える。
「でも、どうやってアイツを探すの?」
『俺が案無しに何かを提案すると思うか?』
メイダールは少しニヤけたような気がした。

7/16/2025, 12:35:31 PM