血痕とチョークで何かを描いた跡だけが残る閑静な住宅街の公園。
さっきまで警察がいたというのに、そんな雰囲気はほぼない。
バラバラになった人がいます。
という通報で警察が来たらしいが、通報者はおろか、その人すら見つからなかった。
現場に残っていたのは地面を赤く染める誰かの血と束になった長い髪の毛のみ。
警察が提示したのはそんな断片的な情報だけだけど、僕の脳裏には一つの光景が焼きついている。
泣き叫ぶ女性の髪を引っ張ってハサミで切って、全身をナイフで何度も何度も刺し、その女性が絶命する前にノコギリで四肢を切り落とした女の姿。
そしてその女は今、僕の前に立っている。
昨日と同じ刃物をちらつかせながら。
あれー、貴方昨日もここにいたよねー?
お巡りさんには私のこと話さなかった?
そっかそっかー。ありがとうね。
でも目撃者は目撃者ってことなんで、ね?
閑静な住宅街で、男の叫び声が響いた。
#記憶と同じ殺人犯
11/9/2024, 11:29:27 PM