霜月 朔(創作)

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星を追いかけて




人間の闇の狭間に生まれ、
他人の不幸を喰い物にし、
必死に生き抜いてきて。

気が付けば、
私の手は、血に塗れ、
私の魂は、闇に染まり、
人の仮面を被った、
悪魔に成り下がりました。

それでも。
私の心は、人間に戻りたいと、
望んでいました。

太陽は眩し過ぎて、
夜の闇に抱かれ、
束の間の夢に揺蕩うと、
空に輝く星々の中に、
一際煌めく、一つの星。

私の心を一瞬で撃ち抜いた、
清らかな煌めき。
誰よりも愛おしい、
…綺羅星。

もし、赦されるのなら、
星を追いかけて、
星の隣に立ち、
星を護りたいのです。

しかし。
穢れきった私に、
星に手を伸ばす事なんて、
赦される筈もないのに、
それでも、諦められず。

月の居ない夜。
いつもより輝きを増し、
煌めく星々に、
そっと願いをかけます。

星は、静かに瞬き、
何も答えてはくれません。

7/22/2025, 8:43:56 AM