通りすがりの一般人

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【これだけあれば...】


友人に流星群を見に行こうと誘われた。

夜も更け、友人が運転する車の助手席に乗って山の上を目指して登っていく。

うとうとしたかけた時、友人から「着いたよ」という声が聞こえ、狭い車内で体を伸ばす。

寝ぼけたまま助手席のドアを開けて地面に下りた時、やけに周りが明るいように感じ、空を見上げた。

暗いはずの夜空には、沢山の星の光が綺麗に弧を描いて俺らのいる場所を照らしてた。

あんなに...星が流れてる綺麗で異様な夜空に俺は目を奪われていた。

そんな時、友人が「願い事をしたから願いが叶うらしい」と俺に言った。

小さい頃、俺は流れ星を見た時、両親が仲直りするよう願い事をしたが、叶わず両親は離婚した。

それから俺は、星に願い事をすれば叶うなんて、嘘だと心底落ち込んで、勝手に星を恨んでた。

...でも、今日、夜空にはこれだけの星が流れてるんだ。

隣で両手を合わせて願い事をしてる友人を見て...

この星空に願い事をしたら1つくらい叶いそうだなと思った。

...ちょっとだけ、希望が持てたんだ。


お題「星に願って」完

2/10/2025, 10:50:06 AM