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終点
駅を出発する電車は、
いくつかの駅を経由して終点を目指す。
経由地たちは色んな情景を見せてくれる。
花が咲き誇り、甘い匂いをさせる場所、
赤い鳥居がトンネルのように連なる場所、
青々としげる木々が道の端に岸のように佇む場所、
多くの音が溢れる、人がひっきりなしに行き交う場所、
夜にはキラキラとイルミネーションが美しい場所、
そういった場所を通っていく。
それを思うと、
生きることととても似ていると思う。
出発地点は、人それぞれだが多くは生まれた日、
経由地点は、私たちが多くの想いを残す場所、
または、人生の分岐点だろう。
そしてその終着地点が終わりを示すのなら、
それはきっとしだろう。

唯一違うのは私たちが自由に歩けること。
自分の道を選べること。
しかし時には、電車のようにレールが敷いてあれば、
どんなに簡単だろうと思う。
私たちが生きる今は、自由と残酷さが鏡合わせのように混在している。
自由に職業も、働く場所も、結婚相手も選べるが、
それと同時に、簡単にそれを手放せるようになっている。
昔は、自分で決められないのなら、
その中で、楽しもうと思えた。
その中に入ったものを大切にしようと思えた。
どんなにありふれたものも大切に慈しみたいと思えた。
だから、今の世こそが全ての終点なのではないかと思える。
なぜなのかははっきりとは言えないが…

8/10/2023, 2:53:31 PM